Le SURRÉALISME: Exposition organisée par Le Centre Pompidou à partir de sa collection
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〜いとしい想像力よ、私がおまえのなかで なによりも愛しているのは、おまえが容赦しないということなのだ〜 『シュルレアリスム宣言』より アンドレ・ブルトン著、厳谷國士訳『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』岩波文庫 |
1924年にフランスの詩人アンドレ・ブルトンによって提唱されたシュルレアリスム(超現実主義)は、文学、美術など様々な分野で瞬く間に世界中に広まり、20世紀最大の芸術運動となりました。偶然性や夢、幻想などを鍵に、無意識の世界にある新しい美や真実を追い求めたこの芸術運動の影響は、広く文化全域に、21世紀に生きるわたしたちの生活の細部にも及んでいます。 |
会期: 2011 2/9(水)〜5/15(日)※会期延長になりました。 展覧会は終了しました。 休館日:毎週火曜日 ※5月3日(火)、10日(火)は開館 開館時間:10:00から18:00まで ※金曜日は20:00まで。入館は閉館30分前まで 会場:国立新美術館 企画展示室1E |
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2011年2月8日 プレス内覧会 |
ダリ、マグリット、エルンスト、デ・キリコ、ミロ、タンギー・・・シュルレアリスムの殿堂から約170点を一挙公開!
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シュルレアリスムの中核を担った詩人や芸術家の多くにとって終の住処となつたパリの中心部に位置する国立ポンピドゥセンターは、この運動についてのもっとも広範で多様なコレクションによって知られています。膨大なコレクションの中から、絵画、彫刻、オブジェ、素描、写真、映画などの作品約170点に、書籍や雑誌などの資料を加え、豊かな広がりを持ったこの運動の全貌をつぶさに紹介する展覧会が初めて実現しました。 20世紀の芸術の流れを変えたシュルレアリスムを体験する絶好の機会といえるでしょう。 |
展覧会構成 〜「プレスリリース」「シュルレアリスム展:カタログ」より抜粋して掲載しています〜 |
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ポンピドゥセンターの所蔵作品から選りすぐった約170点の絵画、彫刻、オブジェ、素描、写真、映画などで、シュルレアリスムの全貌をたどります。 |
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第1章 ダダからシュルレアリスムへ(1919年−1924年) |
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・最初のセクションでは、シュルレアリスムの前提となった、とくにダダとの歴史的な関係についての紹介です。 「ダダ」 家庭を否定するまでにいたるような嫌悪の産物、それがダダである… マルセル・デュシャン 《 写真 》 1946年 撮影者不詳 25.6 x 20.3cm © MAN RAY TRUST / ADAGO, Paris & SPDA, Tokyo, 2011 © Collection Centre Pompidou, Dist. RMN / image Centre Pompidou マルセル・デュシャン、ジョルジョ・デ・キリコ、マックス・エルンストらの作品には、後のシュルレアリスムの美学を先取りするような手法やイメージが現われており、大きな影響を与えました。 |
第2章 ある宣言からもうひとつ宣言へ(1924年−1929年) |
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・2章は、1924年にアンドレ・ブルトンが発表した 「シュルレアリスム宣言」 によるこの運動の創始と、これに対応するシュルレアリスムの第一段階の紹介です。
「内的なモデル」 芸術の目的とみなされている模倣というごく狭い概念は、こんにちまで生きのびているかに見える重大な誤解の原因である… ルネ・マグリット 《 秘密の分身 》 1927年 油彩/カンヴァス 114.0 x 162.0cm © ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2011 © Collection Centre Pompidou, Dist. RMN / Droits réservés アンドレ・マッソンとジョアン・ミロは、この章において特筆される位置に置かれる芸術家です。 |
第3章 不穏な時代(1929年−1939年) |
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・創造の過程の集合的な探求が現実と接点を持たねばならなかったとき、シュルレアリスムの政治参加という問題意識が生まれました。 「偏執狂的=批判的」 偏執狂活動、いいかえれば偏執観念の中にその源を持つ、極度に錯乱した活動力が、その上に働いている、あらゆるオブジェの、絶えることのなき発展という、この分野の上にこそ熱烈な思索を傾けなければならない… アルベルト・ジャコメッティ 《 テーブル 》 1933年/1969年 ブロンズ 143.0 x 103.0 x 43.0cm © Succession Giacometti / ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2011 © Collection Centre Pompidou, Dist. RMN / Droits réservés ヴィクトル・ブローネル、ダリ、エルンストは、シュルレアリスムのこの段階において特筆される芸術家です。 |
第4章 亡命中のシュルレアリスム(1939年−1946年) |
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・第二次世界大戦の勃発によって、多くのシュルレアリストたちはアメリカ合衆国に亡命することを余儀なくされました。 ブルトンはイェール大学の学生に対して行ったスピーチで神話の問題を取り上げたが、この問題は実際、亡命中のシュルレアリスムにとって中心的主題として扱われていた。神話だけが、世界と世界を作り出す社会的構造を合理性の枠組みの外側で分析することができるのである。フロイトによって夢と比較された神話は、夢の集合的な現われであるという… アーシル・ゴーキー 《 風景−テーブル 》 1945年 油彩/カンヴァス 92.0 x 121.0cm © Collection Centre Pompidou, Dist. RMN / Phuilippe Migeat シュルレアリストたちの亡命は、ヨーロッパの芸術家たちとアメリカの前衛画家たち、ジャクソン・ポロック、アーシル・ゴーキー、ロバート・マザウェルとの、実り多い出会いを実現しました。 |
第5章 最後のきらめき(1947年−1966年) |
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・フランスに戻ってほどなく、アンドレ・ブルトンは、ニューヨークの展覧会を引き継いで、現代の神話学の活性化を試みる 「1947年のシュルレアリスム」展を組織しました(マーク画廊)。 「神話」 合理主義者たちの異議にもかかわらず、今日では、比較的最近のしかじかの詩作品や造型作品が、人びとの精神に、あらゆる面で芸術作品の力を超えたひとつの力を及ぼしているかのように、すべてが進行している… マッタ 《 ロゴスの透過−仮像 》 1977-1980年 油彩/カンヴァス 307.0 x 725.0cm © ADAGP, Paris & SPDA, Tokyo, 2011 © Collection Centre Pompidou, Dist. RMN / Phuilippe Migeat シュルレアリストの活力には、新しい世代の芸術家たち (ユディト・レーグル、シモン・アンタイ、ジャン・ドゴテクス) も引きつけられました。 |
右:マルセル・デュシャンの書簡、アンドレ・ブルトン宛 (1947年4月8日付{書簡}) 中央:「シュルレアリスム国際展:1947年のシュルレアリスム」 (展覧会カタログ}) |
シュルレアリスム展 主な作家たち |
マックス・エルンスト(1891-1976)ドイツ・ブリュール生まれ。ボン大学で哲学を修めた後、第一次世界大戦に従軍。1919年にはケルンでジャン・アルプらとダダ運動を始め、コラージュの技法がシュルレアリストたちに注目される。1921年にはパリに赴き、ブルトンやエリュアールらを介してシュルレアリスム運動に参加。1941年にニューヨークへ渡り、後に画家のドロテア・タニングと結婚してアリゾナに定住。1954年ヴェネツィア・ビエンナーレで絵画大賞を受賞。 ジョアン・ミロ(1893-1983)スペイン・バルセロナ生まれ、同地の美術学校などで学んだ後、1919年にパリに出る。ブルトンやエリュアールらと交流を深め、1924年にはシュルレアリストの一員となる。1937年のパリ万国博覧会ではスペインの内戦に刺激され、大壁画《死神》をスペイン館に描く。1940年代には、星、女、鳥などの象形文字的な形象を用いて、天上的イメージを喚起する詩的な絵画をつくる。1954年にはヴェネツィア・ビエンナーレの版画大賞を受賞。 ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)ギリシァ・ヴォロス生まれ。アテネとミュンヘンで学んだ後、弟サヴィニオとイタリアに移住。1911年〜15年パリに住む。ベックリーンやニーチェ哲学の影響のもとに「形而上絵画」を創出。初期の作品はシュルレアリスムにとって針路の一つとなった。1919年以降、過去の巨匠の作品を創造の源泉とする。古典回帰に反発したブルトンとの関係は悪化したが、1929年の小説『エプドメロス』は賛美を持って迎えられた。戦後はローマに定住し、初期作品を再制作する一方で新しい形而上絵画を展開した。 アンドレ・マッソン(1896-1987)イル=ド=フランス地方オワーズ県生まれ。1924年、シュルレアリスム運動に参加、1929年に決別。1934年〜36年のカタルーニャ滞在中にスペイン内乱に遭遇。帰国後、バタイユと『無頭人(アセファル)』誌を創刊。自動記述を絵画に応用し、暴虐性とエロスを特徴とした神話の現代的表現を展開した。1941〜45年、ニューヨークに亡命。その技法はアメリカの抽象表現主義の画家たちに示唆を与えた。 マルセル・デュシャン(1887-1968)フランス・ノルマンディ地方ルーアン近郊生まれ。1912年頃から、たんに「網膜的」なだけではなく概念的な要素を持った、新しい芸術の方向を模索するようになった。1915年に渡米、マン・レイやフランシス・ピカピアとともにニューヨーク・ダダを起こす。シュルレアリスト・グループの一員となることはなかったが、先駆者として、大きな存在感を保ち、協力した。第二次世界大戦後、21世紀の今日に至る現代美術の動向にも、大きな影響を与え続けている。 アンドレ・ブルトン(1896-1966)ノルマンディ地方タンシュブレー生まれ。精神医学を学び、第一次世界大戦に軍医補として従軍。1920年、自動記述(オートマティスム)の手法による詩集『磁場』を完成させ、1924年に「シュルレアリスム宣言」を発表。精神的、理論的な支柱としてシュルレアリスム運動を終生にわたり牽引し、『ナジャ』や『狂気の愛』をはじめとした文学作品のほか、『シュルレアリスムと絵画』や『魔術的芸術』など数々の芸術論を著わす。第二次世界大戦中は亡命先のアメリカにおいて精力的に活動し、しばしばシュルレアリスムの「法皇」とも称される。 サルバドール・ダリ(1904-1989)スペイン・カタルーニャ地方のフィゲラス生まれ。マドリード王立美術アカデミーに学ぶ。1929年、シュルレアリスム運動に正式に参加。精神分析に触発されて発明した「偏執狂的=批判的」方法による絵画作品とオブジェにより、1930年代のシュルレアリスムに新たな局面を開いた。1934年、グループから除名。1940年代のアメリカ滞在中に古典主義回帰を宣言。晩年はカトリック信仰を明言し、宗教的主題をテーマとする作品に取り組んだ。 ルネ・マグリット(1898-1967)ベルギー南部のレシーヌ生まれ。ブリュッセルの美術学校に学び、画家を志すなかで、キュビスムやダダなどの前衛芸術に関心を示す。やがて、デ・キリコの形而上絵画とエルンストのコラージュに触発され、1925年頃から独自のシュルレアリスム絵画を制作するようになった。主としてベルギーで、シュルレアリスム運動を代表する画家として活躍するが、1927年からの3年間はパリに滞在してブルトンのグループに加わっている。 |
関連イベント ・記念講演会 「シュルレアリスムと美術」 講師:巌谷 國士氏(明治学院大学教授) 日時:2011年3/12(土) 14:00〜16:00 ・シュルレアリスム映画上映会 「眠るパリ」「ヒトデ」「黄金時代」「アンダルシアの犬」 日時:2011年2/26(土) 11:00〜 15:00〜 日時:2011年4/ 9(土) 11:00〜 15:00〜 会場:国立新美術館3階講堂 定員:260名(先着順) *聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)が必要です。 |
お問合せ:ハローダイヤル 03-5777-8600 展覧会公式サイト:http://sur2010.jp 主催:国立新美術館、ポンピドゥセンター、読売新聞社、日本テレビ放送網 後援:外務省、フランス大使館 協賛:大日本印刷 協力:エールフランス航空、ソニー・クリエイティブプロダクツ 監修:ディディエ・オッタンジェ氏(ポンピドゥセンター・パリ国立近代美術館 副館長) 南 雄介(国立新美術館 学芸課長) |
参考資料:Press Release、「シュルレアリスム展」カタログ他。 |
※掲載写真、撮影は全て、主催者の許可を得て行っております。 |
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